とにかく冷静に。そして科学的に。

 東日本大震災。その被害レベルは、本当に文字通り、筆舌に尽くしがたい。
 
 だからこそ。今我々は落ち着いて、流言飛語などに惑わされないようにしなくてはならない。
 
 
 例えば、「原発の炉心融解は確定的であり、東京や仙台が放射能汚染される」というデマが、ネット上で飛び交っているらしい。
 
 福島県内の二つの原子力発電所が地震の被害を受けて、放射能漏れも発生している。ここまでは事実である。
 事態を注視しなければいけないのは確かである。
 
 だが。これに便乗したのか何なのか、京大原子炉研の教授の名を騙って、「冷却機能はもう回復しない、だから炉心融解は確定。後は風向き次第で放射能汚染区域が決まる」という内容のメールを流布させている勢力がいるようである。

引用:(※氏名は敢えて伏せ字にしました)
「京大原子炉研の**先生のメールを掲載します
 皆様

 福島原発は破局的事故に向かって進んでいます。
 冷却機能を何とか回復して欲しいと願ってきましたが、
 できないままここまで来てしまいました。
 現状を見ると打てる手はもうないように見えます。
 後は炉心溶融が進行するはずと思います。
 それにしたがって放射能が環境に出てくると思います。
 その場合、放射能は風に乗って流れます。
 西向きの風であれば、放射能は太平洋に流れますので、
 日本としては幸いでしょう。
 でも、風が北から吹けば東京が、
 南から拭けば仙台方面が汚染されます。

 今後、気象条件の情報を注意深く収集し、
 風下に入らないようにすることがなによりも大切です。
 周辺のお住まいの方々は、避難できる覚悟を決め、情報を集めてください。

              2011/3/12  ** ** 」

 
 
 とんでもない輩だと思う。
 
 
 福島第一原発で爆発事故が起きたのは事実であり、その福島第一原発正門前で放射能(セシウム放射性同位体)が通常よりかなり大きな値で検出されたのも事実である。
 
 だが。その一方で、福島第一原発前の放射線量の測定結果が、徐々に減少しているのも事実なのである。
 
 東京電力:福島第一原子力発電所の現状について
 
 素人がいい加減なことを言うわけにはいかないので、爆発事故と放射能・放射線量の因果関係についてコメントすることは差し控えよう。
 だが、これだけは言いたい。
 
 落ち着け。そして、正確なデータに基づいた科学的検証を経た結果の発表を待て。と。
 
 
 ちなみに、件の騙りメールの内容は、科学的検証どころか、炉心融解確定の根拠すら記さない、どちらかというと感情論に根ざした内容である。
 物理学科学部卒程度でしか無い自分の目から見ても、とても原子力の専門家が書いた文章とは思えない、稚拙でレベルの低い文章である。
 
 送り主とされている京大教授が書いた文章でないことは、明白である。私はそう断言する。
 
 
 名前を使われた京大教授は、原子力の専門家で有りながらどちらかというと反現発の立場に立っておられる方のようであるが。 こんな人心を惑わすメールの送り主に祭り上げられて、さぞかし迷惑していることであろう。
 
 
 福島の原発では、今も被害を最小限に喰いとどめるべく炉心冷却の作業が続いており、作業員からは死者まで出ている。
 件のデマメールは、このように命をはって災害対策にあたっている作業員や関係者を愚弄するものである。
 
 
 どういう意図でこんなデマを流布させているのか知らないが。何にしろ、本当に最低の行為だ。
 
 
 
 何度も繰り返し言おう。科学的検証の済んでいない情報を鵜呑みにするな。ましてやそれを拡散させるなど、論外の行為である。
 
 
 
 こんな時だからこそ、我々は冷静に、且つ論理的・科学的に行動しなければならない。
 

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